Approach

私たちが設計するのは、空間ではなく、つくり方です。

同じ予算、同じ敷地、同じ設計者でも、つくり方が違えば出てくる案は変わります。santas が手を入れるのは、そこです。

つくり方とは、何のことか

誰を、いつ呼ぶか。何を先に決めて、何を後に回すか。決めた理由を、どこに残すか。

この3つは、空間の話が始まる前に決まります。そして、たいていの場合、誰も決めていません。前例や、契約の更新日や、他部署の都合によって、勝手に決まっている。

ここを設計対象として扱うことが、santas の仕事です。設計も施工も請け負わないのは、そのためです。図面を引く側にいると、つくり方そのものは動かせません。


1. 言語化されていない意図を引き出す

「どんなオフィスにしたいですか」と聞いても、出てくるのは要望です。要望を集めると、既存業務の延長しか出てきません。

ほしいものを聞くのではなく、何に困っているかを、本人がまだ言葉にしていない段階で見つける。これが最初の仕事です。

必要なのは、本音が出る場をつくることです。誰が同席しているか、どの順で聞くか、何を聞かないか。記録はAIが書けますが、場の設計は書けません。

→ 実例:対話から抽出した11のワークデザインが、以降のすべての意思決定の判断基準になった

(テクノフローワン本社オフィス)


2. 選択肢の幅を、構造が決まる前につくる

見つけたものに応える案が、いま手元にあるとは限りません。選択肢の幅は、誰を、いつ呼ぶかで決まります。

設計者を決めてから他の職能を順に呼べば、選択肢は足し算で増えます。必要な人を最初から並べれば、掛け算になる。後からは足せない答えが出てきます。 これは情報量の勝負ではなく、順番と座組の判断です。過去のデータからは導けません。

私たちは設計をしませんが、方向を決め、上がってきたものを判断します。広告や出版のアートディレクターに近い立ち位置です。

※ここでいうデザイン監修は、デザインの意図が最後まで保たれているかを見る仕事です。建築士が行う工事監理とは別の業務で、santas は工事監理を請け負いません。

→ 実例:グラフィックデザイナーを構想段階から入れた結果、サイン計画が壁ではなく床の要素として成立した(テクノフローワン本社オフィス)


3. 決着をつける

選択肢が広がれば、決められなくなります。ここからが、いちばん難しい。

設計者・施工者・発注者の利害は、構造的に一致しません。誰かが不誠実なのではなく、立場がそうさせます。それぞれが推す案には、それぞれの理由がある。

選択肢を並べることは、誰にでもできます。いまはAIが数秒で出します。残るのは、どれを選び、その結果を引き受けるかという問題のほうです。

私たちは発注者と一緒にそれを決めます。設計も施工も請け負わないので、どの案を推しても私たちの取り分は変わりません。中立とは、判断しないことではなく、判断に利害が乗らないことです。

そして、1で引き出した意図が、ここで判断基準として効きます。「これは何番に合っているか」で議論が終わる。 決めるのが速くなり、決めた理由が残ります。


全員を作り手にする

作り手は、手を動かした人だけではありません。決めた人も、作り手です。

この3つを通じて目指しているのは、決定が誰か一人のものではなく、関わった全員のものに なっている状態です。そこまで来て初めて、出来上がったものも全員のものになります。

順番は逆にできません。完成してから「みんなでつくった」と言っても、決めたのが一人なら、 それは一人のものです。

決めた理由が社内に残っていれば、竣工したあとも運用が続きます。残っていなければ、 次の担当者は最初から考え直すことになります。

新しい価値は、つくり方から生まれる。これが santas の考え方です。

まだ何も決まっていない段階からの相談を、単体で引き受けています。

→ 00. コンセプト・デザイン+マネジメント