Approach
空間が決まる前に、つくり方が決まります。そのつくり方を、santasがデザインします。
同じ予算、同じ敷地、同じ設計者でも、つくり方が違えば出てくる案は変わります。
つくり方とは、何のことか
誰を、いつ呼ぶか。何を先に決めて、何を後に回すか。決めた理由を、どこに残すか。 どれも、たいていの場合、誰も決めていません。前例や、契約の更新日や、他部署の都合によって、知らないうちに決まっています。 ここをデザインの対象として扱うことが、santasの仕事です。図面を描くのは設計者、つくるのは施工者です。santasは、その人たちがいつ、どの順で、何を基準に決めるかを組み立てます。
1. 言語化されていない意図を引き出す
「どんなオフィスにしたいですか」と聞いても、出てくるのは要望です。要望を集めると、既存業務の延長しか出てきません。
ほしいものを聞くのではなく、何に困っているかを、本人がまだ言葉にしていない段階で見つける。これが最初の仕事です。
必要なのは、本音が出る場をつくることです。誰が同席しているか、どの順で聞くか、何を聞かないか。記録はAIが書けますが、場の設計は書けません。
2. 構造が決まる前に入る
見つけたものに応える案が、いま手元にあるとは限りません。選択肢の幅は、誰を、いつ呼ぶかで決まります。
設計者を決めてから他の職能を順に呼べば、選択肢は足し算で増えます。必要な人を最初から並べれば、掛け算になる。後からは足せない答えが出てきます。これは情報量の勝負ではなく、順番と座組の判断です。過去のデータからは導けません。
図面を描くのは設計者です。私たちは、建築・インテリア・サイン・展示などのデザインが同じ方向を向くよう全体の方向を決め、それが最後まで保たれているかを担います。前者を全体のデザインディレクション、後者をデザイン監修と呼んでいます。
※デザイン監修は、デザインの意図が最後まで保たれているかを見る仕事です。建築士が行う工事監理とは別の業務です。
→ 実例:グラフィックデザイナーを構想段階から入れた結果、サイン計画が壁ではなく床の要素として成立した(テクノフローワン本社改修)
3. 決着をつける
選択肢が広がれば、決められなくなります。ここからが、いちばん難しい。
設計者・施工者・発注者の利害は、構造的に一致しません。誰かが不誠実なのではなく、立場がそうさせます。それぞれが推す案には、それぞれの理由がある。
選択肢を並べることは、誰にでもできます。いまはAIが数秒で出します。残るのは、どれを選び、その結果を引き受けるかという問題のほうです。
中立とは、判断しないことではなく、判断に利害が乗らないことです。
そして、1で引き出した意図が、ここで判断基準として効きます。「これは何番に合っているか」で議論が終わる。決めるのが速くなり、決めた理由が残ります。
4. 完成したあとに、確かめる
つくり方を変えると、出てくる案が変わる。そこまでは、完成前にもわかります。本当に問われるのは、出来上がったものの質が上がったかどうかです。それは、使われはじめてからでないとわかりません。
竣工後、私たちは1で引き出した意図と、それを言葉にした判断の基準に照らして、空間がどう使われているかを確かめます。基準どおりに使われているところと、そうでないところ。その差が、運用の見直しと、次のプロジェクトの判断の材料になります。
もう1つの確かめ方が、外部の評価です。評価軸の異なる審査は、つくり方が出来上がりの質に効いたかどうかを、私たちとは別の目で確かめる機会になります。
→実例:竣工後、管理部の方々に使われ方を聞きました。オンライン会議がしやすくなり、ラウンジでの雑談が増え、各工場の営業が本社に立ち寄ってから営業先に向かうようになっていました。整った空間で収納の乱れに目が行くようになり、「美しいものづくり」の意識が社員に広がることも期待されています。いまは、このときつくったデザインガイドラインをもとに、各工場の改修のご相談を受けています(→ テクノフローワン 全社改修プログラムマネジメント)。取引先や、神戸市の就労支援の財団からは、見学の申し出もありました。また、santasがデザインディレクションとプロジェクトマネジメントを担ったこのプロジェクトは、iF Design Award 2026、IDEA 2026 Bronze(Environments)、2025年度グッドデザイン賞、第59回日本サインデザイン賞 銀賞と、評価軸の異なる4つの審査を通っています(テクノフローワン本社改修)
全員を作り手にする
作り手は、手を動かした人だけではありません。決めた人も、作り手です。
この4つを通じて目指しているのは、決定が誰か一人のものではなく、関わった全員のものになっている状態です。そこまで来て初めて、出来上がったものも全員のものになります。
順番は逆にできません。完成してから「みんなでつくった」と言っても、決めたのが一人なら、それは一人のものです。
決めた理由が社内に残っていれば、竣工したあとも運用が続きます。残っていなければ、次の担当者は最初から考え直すことになります。
新しい価値は、つくり方から生まれる。これがsantasの考え方です。

